河の流れは絶えず~和泉編~
其の八 夕闇の部屋で

ひとつ

飯の盆を下げてもらって、外国語3科に取り掛かった。

彼女は外国語を勉強するのが好きなようだった。

きれいな発音で熱心に勉強しているのが使っているノートから窺えた。

1科に1時間くらい費やし、合間に休憩をとったらもう夕方になり始めていた。

お茶を飲んで、

「どうかな?まだやりますか?」

とたずねた。

部屋には西日が差しかけてきていて、もう今日は潮時かもと思ったが、

「もうちょっと勉強してもいいですか?ここがちょっとわからなくて。この発音も。」

と、教科書を指を差し、まだ引き下がる様子は無い。
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