妖(あやかし)狩り・参~恋吹雪~
終章
 何となく照れくさくなり、そはや丸は視線を逸らせた。
 そんなそはや丸をじっと見、呉羽は、きゅ、と彼の着物の合わせを握った。

「やっぱり、お前はヒトと変わらない」

 安心したように呟く。

「先にも言ったことがあるが、お前はもう、モノじゃないよな。何か、もう刀が仮の姿のような。人型を取れる刀というよりは、刀になれるヒトって感じ。私にとっては、お前は立派な家族だよ」

「命がなくてもか」

 やはりそれは、最大の拘りだ。
 烏丸の言うことも、なるほど、と思ったが、ずっと心に引っかかっていたことを、簡単に取り去れるものではない。

 それに、やはりこれは、動かすことのできない事実なのだ。

 が、呉羽は妙なものを見るような目で、そはや丸を見上げた。

「命がない? お前、自分は生きてないと思っているのか?」

 意外な言葉である。
 そはや丸は、きょとんとした顔で呉羽を見た。

 その顔がおかしかったらしく、呉羽は、あはは、と明るい笑い声を立てた。
 久しぶりの、呉羽の笑顔だ。
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