【コラボ】ブラック・メール
新郎が新婦に内緒でサプライズイベントを考えるというのも少なくない。
たとえばギターの弾き語りをしたいから、前日にギターを搬入しても良いか、時間をやりくりできないかなどという問い合わせはしょっちゅうだ。
その類の相談だと思って、足を運んだ、あるホテルのロビーで。
織田は、まりあに信じられない言葉を吐いた。
『つきあってください』
意味が、わからなかった。
相手はもうすぐ結婚する、お客様だというのに。
『式に関するご相談でしたら、いつでもお付き合いさせていただきますよ』
まりあは笑顔で答えた。
古いめがねの奥からのぞく、自分を見るねっとりとした視線に、全く気づいていないふりをした。