【コラボ】ブラック・メール
無理に決まっている。
織田には、自分の左手の薬指に光る婚約指輪が見えないのだろうか。
あるいは、見えていても無視しているのだろうか。
脅迫状のことに加えて、織田の意味不明発言。
当日まで迎えておきながら、いったい何を言っているんだろう。
まりあはだんだんと、腹が立ってきた。
「織田様、脅迫状のことでお気が滅入ってもしかたがないと思います。
ですが、どうかそのような冗談はおやめください。
私たちが、無事に結婚式を終えられるよう、最善を尽くしますから」
「冗談なんかじゃ、ありません。
僕は初めてお会いした時から、あなたが好きでした」
織田は黒いタキシードを着たまま、まりあににじりよった。
まりあは、一歩後に下がる。