小悪魔ちゃん

「……あの」

「桃奈ちゃん、本当は行きたかったんでしょ、カラオケ。
……あの男の子と一緒に」


っ…………。

……人にそう指摘されると、何て返したらいいのか分からない。


「……だったら何なんですか。
もしそうだとしても、あなたには関係ないじゃないですか」


あたしがそう言うと、三船先輩はクスッと小さく笑った。


「冷たいなー。
ま、でも確かにそうだな」


……意味分かんない。


この人に付き合ってないで早く帰ろ……。


もうそろそろいい頃合いだし……。


そう思いながら床に置いていたカバンに手を伸ばす。

すると……


「……俺、桃奈ちゃんに興味あるんだよね」

「……え?」


あたしは思わず手を止めて先輩を見た。

先輩は何考えてるんだかよく分からない顔をして笑っていた。


「不思議に思ってたんだよねー。
可愛くてモテモテなのに誰とも付き合わないって。
しかも男子にはまるで興味がなさそうときた。
これは何かあるなーって思ってたんだけど……」


先輩は窓の外に視線をやった。

もうさっきの集団はいない。

先輩は外を見て小さく笑った。


「謎は解けたよ」

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