小悪魔ちゃん
「嫉妬や羨望って怖いね。
人一人の人生を変えてしまう。
……今の桃奈ちゃんみたいに」
「…………………」
「でも、誰もそれに気づいてない。
桃奈ちゃんが想いを寄せている、あの彼でさえもね」
……気づいていない。
まだ会って数分のこの人は気づいたのに……
小学生の頃からずっと一緒にいる悠は気づいていない……。
それはきっと……それほどあたしのことを見てないってことで……。
悠はやっぱりあたしのことなんて全然見てなくて……。
……あたしは苦しくなった胸を両手でそっと押さえる。
「きっと彼が桃奈ちゃんが変わったと気づいた頃には手遅れになってるかもしれないね」
「手遅れ……?」
「その頃には桃奈ちゃんはもう心を閉ざしてしまっているかもしれない」
心を閉ざす……?
あたしが……?
「そんなことっ……」
「ないって言い切れる?」
「それは……分からない……ですけど……」
「今でさえ本来の自分を隠してしまってるのに?」
……三船先輩はまた一歩あたしに近づく。