小悪魔ちゃん
「……桃奈?
どうした?」
「え……あ、ううん。
……何でもない……」
悠が心配そうにあたしを見つめる。
……これだけで、幸せなんだよね。
好きな人があたしのことを心配してくれている。
今だけは……あたしだけを見てくれてる。
それだけで……もう……
あたし、やっぱり悠のこと……
「もーもなちゃん!」
……あたしを呼ぶ声が聞こえた。
一回しか会っていないのに誰の声なのかすぐに分かった。
「三船……先輩……」
三船先輩は笑顔であたしの横に来た。
そんな三船先輩を悠は不思議そうに見る。
「来ちゃったよ。
桃奈ちゃんに会いたくて」
「……そうですか」
「で、あれだよね。
この子が例の……」
「例……?」
悠が首を傾げる。
あたしは慌てて先輩を止めようとする。
「ちょっ……先輩!」
「ははっ、ごめん、ごめん」
この人……絶対ワザとだ。
「ところで桃奈ちゃん。
ちょーっとお話があるんだけど」
「お話……?」
「一回外出よっか。
ここじゃちょっと……ね?」
先輩にそう言われて周りを見れば、教室にいたみんながこっちを見ていた。
まぁ……三年生が一年の教室に来るなんて珍しいから……。
「ごめん、悠。
ちょっと……」
「あぁ。またな」
あたしはみんなの視線を感じながら先輩と一緒に外に出た。