小悪魔ちゃん
人通りの少ない、静かな場所まで来ると先輩は急に足を止めた。
そして振り返るとあたしを見てにっこり笑った。
「いやー、ビックリした。
教室に行ったらあの彼がいるんだもん。
ビックリビックリ」
「何で教室まで来たんですか……」
「何でって、そりゃ今はゲームの真っ最中だからね。
何としてでも桃奈ちゃんに俺のこと好きになってもらわなきゃ」
……ゲーム……。
「……やっぱり、こういうのよくないと思います」
「え?」
あたしは顔を上げてまっすぐ先輩を見ながら口を開く。
「人を好きになるって気持ちはもっとこう……純粋なものだと思うから……。
だからゲーム感覚とかそういうの……よくないと思います」
それに何より、あたしの気持ちがゲームの対象にされてるのが嫌っていうか……
ゲーム感覚で気持ちを変えたくないっていうか……
とにかく……
「……くくっ」
「え……」
「ぷっ……ははっ!
あー、おもしろ」
「……何が面白いんですか」
あたしが軽く睨みながらそう聞けば、先輩は笑ったまま答えた。