小悪魔ちゃん
「この前教室に来たあの先輩。
あの人と付き合ってるんだってな」
……え…………。
……あたしの目の前が暗くなる。
悠の声だけがあたしの耳に響く……。
「まぁ、感じの良さそうな人だったし。
よかったな」
……よかったなって……。
全然……よくなんかないよ……。
……何でそんなに笑ってるの……。
何でそんなに嬉しそうなの……。
……当たり前だよね……。
だって悠はあたしのことは何とも……。
……そもそも悠のことを忘れるために先輩とゲームを始めたのに……。
何で……どうして……
こんなに胸が苦しくなるの……?
「桃奈?」
「…………から」
「え?」
「っ……付き合ってなんかないから!」
「あ……おい、ちょっ……桃奈!?」
……あたしは泣きそうな顔を見られまいと、悠に背を向けて走り出した。