月詠姫〜癒しと鬼一族編〜
一瞬、何が起こったのか分からなかった。原田の手が空君に触れてないのに、空君は壁に激突した。

「…ぐは…!!」

「空君…っ!!」

「俺は念力を使える。これで人を操れたり出来る」

もしかして、ここにいる人達…全員?

"あそこにいるお手伝いさん達は、皆奴隷で連れて来られた人達だとか…子供を誘拐しては、自分の部下にしてるとか…"

前に空君が言っていた言葉を思い出す。じゃあ、みんな念力で操られた人達ってこと…?

「…気付いたようだな」

「っ!?」

原田の顔がまた近付く。空君は起きない…

「気付いた奴には…地獄を与えてやる」

そしてまた、唇を奪う…もう奴からは逃げられないー…

私は、そう思ったー…




東雲side

「くそっ!!いねぇ…っ」

「俺達が戦ってる間に違う場所に移されたのか…!?」

「ほんま、何処におんねん…っ」

走ってる途中で雅と合流した俺達は、真央から教えられた通り3階の一番奥の部屋にいた。だけど、そこは誰もいなかった…

「くそっ!!こうしてる間にも月は…っ」

「…っ!!」

考えるとゾッとする。頭に浮かぶのは、あいつの笑顔…早く会いたいー…顔を見たい…

そしてー…

"東雲!!"

その鈴のような声で、俺の名前を呼んで欲しい…

「ここにいても仕方ねぇ。1階に行くぞ」

「「あぁ!!」」

月…待ってろ…っ!!

今、行くからな…!!
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