あの頃のように
むしろ、3分の2でもまだ甘い、なんて言ってた」

「うん」

「でも、前島大臣がNALをつぶしてから、パパは不信感を持ったの。

経営破綻させる必要なんてなかったはずなのに、って」

「……」

「NALが危ない、でもつぶさない、なんて大々的に発表して株価が大暴落したでしょ。

そのあとも株を紙切れにはしませんと言いながら、わざわざ潰して紙切れにして、銀行にも借金をチャラにさせた、って。

破綻させる際の赤字の計上の方法も明らかにおかしい、って。


何かがおかしい。

当時同じように思ったNALのOBや個人株主は何人もいて、自然に横のつながりが出来たの。

一体NALで何が行われていたのか追求しよう。

――当然そんな話になった」

「……」


沙稀の静かな声は続く。

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