あの頃のように
「……真劔(マツルギ)って、他では聞いたことないもんな」

「全国でも十世帯程度しかないらしいの」


(ユカっていいます。鈴木ユカ)


だから鈴木、なんてありふれた名前を使ったのか。

なんてぼんやり考えた。


どういうわけか、親父に殴られたこめかみがシクシクと痛み出す。


「……にしても、ずいぶん乱暴に決着をつけたんだな」

「……」


沙稀の視線がナナメ下に落ちる。


「何とか選挙までに決着を着けたかった。

……自由党の先生方にも相談したらしいんだけどね。

いずれ追求されるはずだったんだけど、肝心の国会が全然開かれなかったり、他に重要法案があったり、何かとバタバタして、機会がなかなかなかったの。

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