あの頃のように
本当の彼女はどんな人間だったのか。

それすらよくわからない。



プルルル……


とめどない、くだらない思考をさえぎるように内線が鳴った。


「はい」

「おい潤也、聞いたか?

宮ちゃんも来月で寿退社するってよ」


いきなりの声。

上司の高城さんだ。


「え、そうなんですか?

……誰と?」

「聞いて驚くな……」


別に意外でもない人物の名がおごそかに告げられる。


「……しかし、続くときは続きますねぇ」

< 41 / 168 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop