Hurly-Burly 5 【完】
げへへっと笑いが溢れそうになっていた。
そんな時だった。
ふと、見知った顔が通り過ぎて思わず席を立った。
「えっ、日和!?」
どうしても見逃しちゃいけないような気がした。
いつもと違って見えたから。
追いかけなきゃ駄目だって体が勝手に動いていた。
「ど、どこ行くの?」
お店を出てすぐに後ろ姿を見つけて飛びついた。
それはもう確保!!と言った具合にだ。
後ろから抱きついて変態って叫ばれたらどうしよう
とかそんなことよりも真っ先に沈んだ顔がビックリした。
「日和ちゃん?」
いつも優しいお姉さんで周りをよく見ている。
そんな、彩乃ちゃんのこんな切ない顔見たのは
初めてでどうにか元気にしたくて。
「ひよちゃん、ペッ!」
道端でするギャグじゃなかった。
今、通行している人からものすごい痛い視線を
感じて背中に穴があくのではないかと焦った。
「あれ、彩乃?」
サユもお店から飛び出してきたのか、
不思議そうな声を出した。
「2人とも遊びに来てたの?」
消え入りそうな彩乃ちゃんの声に、
サユも何か異変を察知したようだった。
「彩乃、何かあった?」
「えっ?」
「言いたくなきゃいいのよ。でも、そんな顔で
一人にしとけないって日和があたしに念じてくるのよ。」
よ、よく分かったな!
サユに届けと思いながら念じてたはず。
「彩乃ちゃん、お暇ならご一緒しませんか?」
「・・・・・いいの?」
「構いませんよ!藍ちゃんにも頼んでみますね。」
彩乃ちゃんを連れて店に戻ると藍ちゃんが
待ってくれていて、彩乃ちゃんが居ても
大丈夫と承諾してもらえた。
あたしの横に彩乃ちゃんを座らせると、
まだ無理に笑って痛々しく見えた。