Hurly-Burly 5 【完】

ただ、一緒に居るだけでも違うかなとも思ったけど

本当は1人になりたかったのかもしれない。

沈黙が走る空間にあたしが頼んだ料理がじゃんじゃん

運ばれてきて空気が読めてない!

「日和ちゃん、よく食べるよね。」

彩乃ちゃん、やっぱり何かあったよね?

「彩乃、言って見なさいよ。あたしに何か出来る

かもしれない。と、友達でしょ?」

サユが少し顔を赤くするのを見て、あたしも

首を縦に振って応援した。

「1人で悩むよりみんなで解決した方がずっと

心強さもあるかと思います。」

三人寄れば文殊の知恵ってことわざあるもの。

あたしが分からなくても藍ちゃんやサユなら

分かってあげられることかもしれないわ。

「・・・ありがとう。」

そう笑った彩乃ちゃんの瞳から涙が溢れた。

綺麗な涙にオロオロしながらハンカチを

差し出すとポロポロ止まない雨が降り注ぐ

ように頬を伝っていく。

「ゆっくりでいいよ。彩乃ちゃんが話せる

ようになるまで待ちます!」

「そうよ!こんな時ぐらい彩乃も甘えたって」

サユの言葉が途切れるように彩乃ちゃんが

涙混じりの笑顔を振りまいてポツリ呟いた。

「・・・もう恋するのやめようかな。」

その言葉を聞いてサユも藍ちゃんもあたしも

返す言葉が見当たらなくなった。

女の子は恋して綺麗になるって母さん言ってた。

だけど、恋をして傷つく女の子も居るのだと知った。

あたしは恋のこの字もないほどの未経験者で、

今の彩乃ちゃんの気持ちを理解することは

不可能に限りなく等しかった。

「何があったの?」

いつもクルミちゃんが彼氏の話をする横で、

微笑ましく優しく笑って話を聞いていた

彩乃ちゃんが自分の恋の話をしたことはあっただろうか?

大人びた彩乃ちゃんの好きな人は

一体どんな人でどんな恋をしているのか

密かに気になっていた。

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