Hurly-Burly 5 【完】
恋はキラキラするなんて嘘っぱちだった。
「ごめんねっ」
涙をポロポロ溢す彩乃ちゃんを予測する
ことがあたしに出来ただろうか?
「何で、彩乃が謝るのよ!」
サユがバンっとテーブルを叩いて、
今にも飛び出していきそうなのを藍ちゃんが止めた。
「紗友梨、いいの。もう・・・終わらせなきゃいけないんだと思う。」
涙を拭ってサユの手を取る彩乃ちゃんは痛々しい。
「ううん、終わらせるの。」
自分に言い聞かせるように言った彩乃ちゃんに、
サユが何言ってるのよと言い放った。
「彩乃をこんなに泣かせる相手なんだから
あたしがぶん殴ってやるわ!」
この子はなんて男前な発言をするんだろうか。
我が親友ながらいい性格してるわ。
「どうして、終わらせなきゃならないんだ?」
彩乃ちゃんが無理に笑った。
「あたしの好きな人ずっとずっと大人の人なんだ。」
初めて彩乃ちゃんが自分の好きな人のことを話した。
「べ、別に年の差なんて関係ないじゃない!」
サユ、君は熱くなりすぎだよ。
藍ちゃんがクールにサユのストッパーをし続けている。
「最初は塾帰りに会うサラリーマンだったの。
危ないから送っていくよって話しかけてくれた
のが始まりで・・・・どんどん好きになった。」
今まで、決して話すことがなかった。
彩乃ちゃんの秘密の恋だった。
「不器用で・・・優しくて・・・抱きしめてくれて
こんなに好きな気持ちでいっぱいになる人なんて
初めてでいつもいっぱいいっぱいだったの。」
でも、彼には秘密があった。
とても、残酷な秘密でそれを知りながら
続けてきた関係だったという彩乃ちゃん。
「結婚してた。」
それを聞いたサユはテーブルに穴が開きそうな
ほど強く殴って藍ちゃんがビックリしてた。
彩乃ちゃんは馬鹿でしょ?なんて言いながら、
それでも好きだったから諦められなくてズルズル
今まで関係を続けてきたんだと言った。