Hurly-Burly 5 【完】

な、何たる可愛いさなんだ!

「そういう日和ちゃんは?」

彩乃ちゃんがふふっと笑うのを前にポカーンと

するあたしにサユが駄目よこの子はと言った。

「生憎、恋というものが未だによく分からない

代物でして、探求している真っ只中でございます。」

好きな人と言われても分からないのだ。

恋という感情をまるっきり理解しようと思ったことはない。

誰かを好きになったりするような感情はまるで

あたしには必要ないと思ってる。

「そうなの?」

彩乃ちゃんが首を傾げた。

「その・・・好きになるというのがイマイチ

分からなくてですね。」

知らないままの方がいいとさえ思っている。

だって、一ノ瀬を継いだら感情なんて

一切不必要になってしまうんだ。

「えっ?勿体無いよ。日和ちゃん、可愛いし、

女の子だから好きな人出来るといいね。」

好きな人なんて要らない。

そんな感情があったらあたしは一ノ瀬と戦えない。

「あ、藍ちゃんは、彼氏が居るのですか?」

どうにか話題を別物にしようと思ったが、

あたしなんてことを!!

「・・・・・居ない。片思いだから。」

はい!?て、てっきり、ちぃ君と付き合っている

ものだと思っていたぞ。

だ、駄目じゃないか!ちぃ君も罪に置けない

色男だったてのかい!?

「どんなヤツなのよ?」

サユが藍に片思いされるなんてとんでもないヤツねと

文句を言うのを藍ちゃんが笑った。

「よく怒るけど、優しい・・・気が利いた人」

藍ちゃんが頬をピンクにして可愛い。

「なんて罪な男なんだ!!」

それ、ちぃ君!?

よく怒るようには見えない。

優しいけど、気が利くわけでもないよな。

ま、益々訳が分からなくて消化不良だ。

< 115 / 415 >

この作品をシェア

pagetop