Hurly-Burly 5 【完】

意外とサユと修平君の居るベンチが遠くになってしまった。

急いで、戻らねばならないわね。

周りはカップルばかりで居心地が悪い。

しかし、あたしは気にしないぞ。

おおらかな性格だからな!

前のカップルがラブラブしながら選ぶのが遅すぎて

イライラするあまりに彼氏の靴を踏んじまった。

踵を踏んだりするから悪いんだよと思いながらも、

すいやせんと謝っといた。

「お嬢ちゃん、何にする?」

おじさんに注文を聞かれた。

「あ、えっと、メロンソーダとカフェオレ・・それから、

オレンジジュースでお願いします。」

寒いが致し方ない。どうしても、今日はオレンジって気分なのだ。

出来上がった飲み物を抱えてサユたちの居るベンチ

に戻ろうとした帰り道のことだった。

ドンっと明らかに悪意のあるぶつかり方をしてきた。

何かの勧誘でもされるんだろうかと身構えていたら、

ふわりと甘い香りが漂った。

「あ、すいません。」

言葉に詰まるあたしに向けられた笑みに気づく前には、

腕を強引に引かれて死角であるサユたちから遠ざかる

ように人気の少ない建物の隙間に追いやられた。

逃げようと思えば逃げられた。

それでも、立ち向かわなきゃいけないと思った。

ここで、逃げるを選択しなかったのには意味がある。

「貴方、この間の事件の?」

それから、その前にも見たことがある。

ウチの学校の生徒ではないのに可笑しい。

「やっぱり、顔見られてたんだ?」

「なっ、じ、自首をしろ!!」

オレンジ色の髪がふわりと畝った。

「なあ、あんたさ、黒宮たちの何なの?」

「あたしの言葉が聞こえなかったのか!!」

一瞬でもちぃ君に似てるだなんて思ってごめん。

全然、似てないよ。

被るところはオレンジの髪だけで全然違う。

この人の放つ不気味さは侮れない。

やっぱり、逃げれば良かったかもしれない。

でも、後悔はしてない。一度はっきりさせときたかった。

ちぃ君たちはうやむやにしようとするから、

どうしても納得出来ないで居るのはあたし個人の問題で、

巻き込まないように調べようとは思ってた。

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