Hurly-Burly 5 【完】
伊織君がニヤリと笑うのを見逃さなかった。
「あれー?ひよちゃん、ちょっと顔赤くな~い?」
「き、気のせいだっ!!」
ああ、一生の不覚だった!
あたしのポーカーフェイスが意図も簡単に破られた。
ま、負けやしないぜコノヤロー!!
正々堂々と戦い抜いて勝利を手にするぞ!
ビクトリー!!!
「・・・・・・すっ、すまない、置いてくな!!」
スタスタ他人行儀になった伊織君にすぐ様
謝罪をしたところで伊織君がヘラっと笑ってみせた。
「ひよちゃん、置いてかれるの嫌なんだ~?」
ムムっ!
何か、すごい負けた感じがしてイラっとする。
「伊織君、それは間違っている!あたしが、
伊織君を置いていくのだ!」
どうしても負けたくないわ!
厄介な魔導師はあたしの顔を見ると、
またヘラヘラ笑い出す始末だ。
「うわー、負けず嫌いだね?」
「何さその棒読みはやる気あるのかね!?」
もう嫌だな伊織君ってよく分からないから、
クリスマスイブイブの日だって急に優しくしたりさ、
かと思うと今みたいにからかって面白がったりしてるみたいで
あたしは弄ばれている!?
け、けっ!
「けしからんぞ!!!」
伊織君は余裕たっぷりな感じで何とも言えない。
あたしだけ焦ってるみたいじゃないか!
「あんまり、道端で暴れんな?」
手首をギュッと掴まれて引き寄せられて、
ポスっと腕の中に引き込まれた。
「なっ!!?」
「良い子だから少し黙ってよっか?」
魅惑的に笑みを浮かべる伊織君に、
ドッドドドどんどこどんっと心臓が
急激に加速し始める。
「危ないとこだったじゃねーの。」
それはこっちのセリフだ!
危うく、沸点に近づくところだった。
ドカーンっと心臓が爆発する寸前だったんだぞ?