Hurly-Burly 5 【完】

それを見たユウヤにぎゃははと笑われて、

異変を即座に察知した馨君によってティッシュを

大量に授けられて鼻に突っ込んだ。

「ナル君、早く起きて下さい!可愛さで免れようとは

やるではないですか!!」

ユサユサナル君の肩を動かすとむにゃっとした声だった

ナル君が急に険しい顔つきになった。

「うっせんだよ!」

「ひっいいいいいいいいいいいい!!」

今、一瞬オオカミさんになった。

可愛い寝顔だったナル君が豹変した一瞬だった。

「ナル、寝起きは機嫌悪くなるから。」

「そ、それを早めに言って下さい!」

馨君はやれやれって顔をした。

でも、起こさないわけにはいかなくて、

ちょっとビビりながら肩をツーンと突いた。

「・・・・んっ」

「な、ナル君起きるお時間ですよ。」

そっとうるさくないように耳元で囁いたはずだった。

みるみる内に耳が真っ赤になりバッと起き上がった

ナル君にガバっと抱きつかれた。

「ひっい!」

ナル君のご機嫌を損ねたに違いないわ。

「殴られる!!」

「ヒヨリン、大好きだー!!」

ギュッと力が限りなく振り幅の峠を超すレベルの

強さが加わったことによって内臓が絞れそうだった。

「ぐふっ、」

「ナル、日和ちゃん死んじゃうから。」

「だ、だって、ヒヨリンが起こしてくれた!」

ナル君が可愛いく満面の笑みを浮かべて、

力を緩めてくれたおかげで三途の川には

渡らずに済んだものの必殺プリチースマイルに

キュンキュンしてさっきの怖さはお蔵入りとなった。

「ヒヨリン、どっかぶつけたのか?」

鼻にティッシュを詰めているあたしに声を掛けて、

心配そうな顔をするナル君と馨君の後を追いかけた。

車から出る手前馨君が手を差し伸べてくれて感動のあまり

握手をして気を取られたせいか前につんのめって転がり

落ちそうになったところを馨君が苦笑いで受け止めてくれた。

地上に着地したことによって全貌となったちぃ君の家に

感嘆の声が漏れたのだった。

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