Hurly-Burly 5 【完】
さっき、伊織君も言ってたもんね。
「こ、これには谷底より深い事情が・・・ふっかーい
ふっかーい果てしなくふか・・・くはないとは思うけども、
あれだね・・・・・引力っ!?」
君たち、仲良すぎなのよ。
磁石じゃないんだから休みの日に勢揃いって
どれだけ仲良しさんなのかい!?
「ヒヨリン、伊織・・・・と!?」
ナル君が青い顔して交互にあたしと伊織君を見る。
「何で一緒に居るんだ!?」
ナル君が言い切ってすぐに訪れた沈黙を
面白そうに伊織君がグイっとあたしの腰を引き寄せた。
「えー、イケナイことしてた~」
「ば、馬鹿か!誤解を招くようなことを言うな!!!」
目眩がしそうなほど無責任な伊織君に噴火寸前だった。
「伊織っ!!!」
ナル君が可愛い顔を崩して鬼の形相で伊織君を睨む。
「あー、ナルちゃん怒った。」
「いや、何呑気なこと言ってんだ!弁解をしろ!
だ、大体、イケナイことって何!?
伊織君は世界征服を目論んでたではないか!!」
あたしの言葉に氷河期がやってきたような白い目を
全員に向けられてギョッとした。
「な、何っ!?貴様ら全員がグルだったのか!?」
「や、ヒヨリン・・・今ので何でそうなんだよ?」
「・・・・ひよこ、鈍いのか・・・・」
ユウヤと京君がすごく可哀想な視線をあたしに送ってくる。
「卑怯者っ!!人でなし!!姑息なマネをしおって!」
全員がグルって酷いじゃないか!
「あたしに内緒で世界征服なんてさせないからな!!」
「日和ちゃん、とんでもなく勘違いしてるよ・・・・」
馨君の苦笑いを知らずに騒ぐあたしに、
伊織君が自分の額に手を置いてため息を吐く。
「はぁー、オマエと一緒だと調子狂っちまうじゃねえーの。」
「えっ?」
何か言ったかと思って伊織君を見上げた。
そこには、未だかつてないぐらいの色気を含んだ
伊織君がそっと耳元に口元を寄せた。
ギョッとするあたしなんてお構いなしに、
伊織君は妖しく笑った。