Hurly-Burly 5 【完】
その日、俺はちぃーの家に泊まった。
話の流れがどうなってそうなったのか分からない。
でも、ちぃーに手を引かれて連れて来られた
部屋には馨が居て心配そうな顔をしていた。
「千治!成!良かった、心配したよ?」
「ご、ごめんな!」
「大丈夫?」
馨がすごく心配してくれた。
「ちはるううー、まっさんに見つかって先に帰ってきた。」
「・・・・・強敵だったな。」
「伊織逃げられないように引っ張られてたからね。」
3人は仲良しなんだな。
俺、居ていいのか?
「ナル、こっちに座れ。」
俺は言われた通りに、ちぃーと馨の近くに座った。
「・・・・桃太郎、寝てやがる。」
シュンと落ち込んだちぃーを見て何か笑えた。
「ナル、大丈夫だ。」
笑えたのに何でか視界がぼやけて見えない。
靄があるみたいにスッキリしない。
「もう心配するな。あの気味の悪い奴は来ねぇ。」
今まで、影で泣いてどうにかしてた。
人が居る前では絶対に泣かなかった。
母さんの前ですら元気にしてた。
「馨も居るだろ?・・・桃太郎も抱いてる。」
桃太郎ってこの猫の名前なんかなと思いながら、
桃太郎を凝視してるちぃーに視線を上げた。
「お前は、1人じゃない。お前が笑えば、人が集まる。
そしたら、悪い奴はお前に近づけなくなるだろ。」
あの日のちぃーの言葉は今でも忘れられない。
ちぃーが初めて俺を認めてくれた。
俺をちゃんと同じラインとして見てくれた。
「・・・・・うぐっ」
だから、もう怖いってのはやめよう。
嫌だって言えないのはやめよう。
俺にはちゃんと味方が居るから。
俺を俺だって思ってくれる人に出会えた。
ちぃーが優しいのなんて昔っからだった。
昔っから、優しすぎて大好きだ。
馨も伊織もその後に友達になった慶詩も京も
ユウヤも俺を受け入れてくれた黒宮家もみんなみんな
ちぃーの傍に居るとみんな優しい人ばっかりだと思った。