Hurly-Burly 5 【完】

卒業式が近いことによって平日ではあったものの、

その準備に追われるため自習続きで休んでも特に

問題にはならないし、優秀な成績を収めたことから

他校からの交換留学をという話があってそれを利用させて

もらってお休みを確保したがハッタリというのはどうも

罪悪感を生むものらしい。

その日は1日ずっとソワソワしてて、人生初のエステも

ちっともリラクゼーションにならなくて余計疲れた気がする。

自習は自習でもズル休みしてるよなと思うと、

帰ったら勉強しておこうと思った。

午後は伯父様に会って明日の打ち合わせを軽く済ませて、

最後に本当にいいのかって聞かれて強く頷いた。

別にすぐに一ノ瀬を継げというわけでもなく、

次期後継者になることが目的であるわけで、

もうあたしの決意は覆らない。

しかし、こんなこと言ってるが社交界なんて経験したことが

ないからはっきり言って謎のパーティーでとりあえず明日

はいつも以上に気を引き締めて失態しないように油断してはいけない。

いつもドジしてるように見えるあたしでも本当にやれば、

寧ろ本気を出せば・・・いや、本来のあたしは出来る子である。

帰り道気分転換に散歩して帰ると告げてあったから、

何故こんな時間になったか分からないけど夕飯時の時間に

帰路に立っていて慣れないパンプスの靴に裸足で帰って

やろうかなんて思い始めてた。

気を遣うお洒落というものは本当に面倒だと思う。

もしかしたら、あたしはすごいガサツな女なのかもしれない。

大雑把ではあるなと薄々気付いていたが、おっさんっぽい

って言われるのも仕方ない気がする。

大和さん、夕飯作って待ってますねってメールしてくれてあった

からきっと朝同様に完璧な夕飯を用意してくれてる。

茜色の空は少しずつ紫のグラデーションが掛かってきてる。

いつの間にか寒さよりも暖かさを呼び込んできた季節に、

梅の花も咲いてるなと風景を眺めてた。

ぼんやり明日の工程を頭の中でシュミレーションしながら、

上手くやっていつかあの秘書に再会した時は一発殴って

やろうかなんて密かに企んでた。

だから、気付かなかった。

後ろに誰か居るとか思っても見なかった。

ぼんやりしすぎるのも良くないなって思い知った。

次の瞬間、バシっと頭を叩かれて敵襲かと振り返ると、

金髪頭のライオンさんが佇んでた。

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