Hurly-Burly 5 【完】
あたしが満足げに調理していた隙に、
熱燗とおつまみを作ってくれていたらしい
料理長に客人には頼めないよと言われたが、
「いいえ、頼まれたのはあたしなのです!」
どうにか、料理長からお盆を剥ぎ取った。
そして、速攻で厨房から逃亡を図った。
さっきの廊下どこだっけとウロウロしていたら、
急に後ろからお盆を引っ手繰りにあった。
「な、何奴!?」
「ヒヨリン、時代劇かっての。」
さりげなく横に並ぶユウヤに首を傾げた。
「どこから現れたんだ!?」
「ヒヨリン、そんな不思議がることじゃねぇだろ!」
「ま、まぁな!」
パーカのポケットに片手を突っこんでもう片方の手で
お盆を持つユウヤをジッと見つめた。
「な、何だよ!?」
急に赤くなったユウヤにはたまた意味が分からなくて
首を傾げると見んなって頬を押された。
「ユウヤ、熱でもあるんじゃないか?」
「ねぇよ!!」
何をそんなに慌ててるのだろうか?
「余計、怪しい・・・・」
ジトーっとユウヤに視線を向けていると、
だから見んなって言ってんだろっと言いながら
グリッとほっぺたを押し込めてきた。
「ユウヤ・・・・これはイジメか!?」
「ち、ちげぇって!」
パッと手を離すとパーカーのポケットに手が戻った。
立ち止まるとユウヤが振り返った。
その瞬間を狙ってピトっと額に手を当てた。
「なっ!」
「う~む、熱はないようだが?」
言葉にならないユウヤを見つめながら良かったねと
笑うとまたパーカーのポケットから手が伸びてきて手首を
捕まえられて引っ張られた。
「えっ、ゆ、ユウヤ!?」
「いいから黙って着いて来てくれよ。」
何かおちゃらけた雰囲気じゃないユウヤを見て、
反抗心は不思議と思わなくてユウヤに引きずられた。