Hurly-Burly 5 【完】

暗い中できっと心細かっただろう。

『ハニー、お帰り』

いつだって、あたしの帰りを待ってくれる。

“あの人”が居なくなってからの心の拠り所は

いつだってジョセフィーヌでぎゅむっと抱きしめた。

今なら、ムツゴロウさんの気持ちが分かる気がするッ!

「よーっし、よしよし!」

わしゃわしゃ毛並みの整ったジョセフィーヌを

撫でるとピトッと甘えてきた。

「ただいま、いつも遅くなってごめんね!」

駄目だ、最近よく思い出しすぎてる。

心に封印したはずなのに目を閉じると、

優しく撫でてくれた手の感触を思い出す。

焦がれるほど好きだった綺麗な手。

透き通るような白で繊細なその手がいつも

優しくて安心したのを覚えてる。

他人の温もりにあんなにまで安心出来たのは

“あの人”だけだった。

人は不安になると誰かの温もりを感じて

安心を求めるとはよく言ったものだ。

『ハニー、今日はどこに行ったんだい?』

それでも、他人の温もりできっと救われることもある。

それを知ったのは“あの人”が教えてくれたからだ。

無知なあたしに面倒臭がらずに丁寧何でも教えてくれた。

兄ちゃんよりも頭がキレてる癖に掴みどころのない人。

「今日はちぃ君のご実家にお邪魔したんですよ。」

電気を付けながらリビングに移動すると、

静寂なシーンとした空間が広がっていた。

この家、意外と広かったなと思う。

『ああ。あのこの間のボーイかい?』

ソファーに座りながらマグカップにお茶を注いだ。

ポチッとテレビを付けるとお笑い番組をやってた

せいか部屋に笑い声が木霊する。

「とっても、素敵なご家族だったのですよ。」

そういえば、あれで揃ってたのかしら?

他にご兄弟らしき人が居るような感じには

見えなかったような気もする。

あたし、普通に出来てたよね?

変なところあってボロなんて出なかったよね?

どうしても、ちぃ君と話すと目が合わせられない!

藍ちゃんがチラついてジョークも飛ばせない始末だ。

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