Hurly-Burly 5 【完】

本人はちっとも興味がないのか素なのか

全然気付くことはなくいつも日和ちゃんしか

興味がないと言っていた。

小さい頃からアイツとは仲良く3人で幼なじみを

やってきてはいいけど、元々子どもらしさの欠けた

アイツに変化を与えたのは生まれたばかりの日和ちゃん

だったというのは俺だけじゃなく立花家では誰もが知ってることだ。

「日和ちゃんは?」

あんなに大事にしてたぐらいなのに何してんだアイツは。

「一度も口にしたことはない。アイツのことはまるで

心に鍵を掛けたようになんだよなー。」

車の鍵を開けると助手席に座りだした透真を見て、

ふうとため息が溢れた。

「けど、俺は信じてるぞ。アイツはひーちゃんのこと

必ず迎えに来るような気がするんだ!」

俺もそう思ってるよ。

だって、日和ちゃんを酷く可愛がってた。

アイツがアイツで居られるのは日和ちゃんが居たからだ。

日和ちゃんは知らないかもしれないが、アイツにとって

日和ちゃんは何よりも大事でどうしようもないほどに

大切すぎて、アイツの表情が崩れるのはいつだって日和

ちゃんの前だったんだ。

透真は自分よりも懐いてるって散々喚いてたよな。

それを見ながら宥めるのはいつも俺だった。

車を発進させて駐車場から出るとすぐに透真のケータイ

が鳴って透真が顔を真っ青にした。

「ど、ど、どうしようっ!真、これは何かの悪戯かな!!」

非通知に動揺してる透真にまたため息が出た。

「早く出てやりなよ。」

「で、でも!!もしも、悪質なセールスだったらどうするんだい!?」

なっ?師匠と肩に乗せていたオカメインコに喋りかける。

我ながら、本当に困った友人たちだ。

「お前に悪質なセールスなんて寄らねぇよ。

それだけは絶対に保証してやるっての。」

むしろ、お前が悪質すぎてセールスも逃げるだろ。

透真がオロオロしてる内に通話ボタンを勝手に

押してスピーカーにした。

「おいっ!」

慌てる透真にキッと睨んでから言葉を発した。

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