王子様とビジネス乙女!
結局私たちは3人でカフェテリアに向かうことになった。
当然そこでも視線を浴びまくり。
注目されすぎて死にたくなる。
目立っているのを意にも介さずマイペースにケーキをつつくナヴィーヤは、多分おかしい人なんだと思う。
「レナール様」
「なんだい、レディ・ナヴィーヤ」
ケーキ食べながら皇太子陛下に話しかけるこの令嬢も大概礼儀に欠けていた。
まぁ私の友人なので仕方ない。
紅茶を上品にすすって、ナヴィーヤは先を続けた。
「あの、その、カドリちゃんがあこぎな商売をしていたことは知ってます。
わたくしは止めたんですけれど、カドリちゃん、儲かってしょうがないってやめなくて」
嘘である。
少なくとも私が盗撮ビジネスの話をした時は、楽しそうにノリノリで煽ってた。
「カドリちゃんも悪いと思うんですけれど…その、流石にここまでは、ちょっとやりすぎだと思います」
「やりすぎ?」
「ご存知でしょうか?
カドリちゃん最近、イジメられるようになってしまって」
「イジメ?何故…」
「嫉妬です嫉妬。
もう教科書とノートが何冊もダメになってるんです、この子」
「本当かカドリ?
何故言わなかった!」
ナヴィーヤめ、余計なことを…。
面倒そうだから黙っていたのに。
「別に大した事ではありません。
どうかご心配なさらないで下さい」
ヘラリと笑って言うと何故か手を握られた。
何なんだろうこの人。
「すまなかった…」
「え!?
いやホント、大したことないんですって!
そんな謝らないで下さい!」
「多少君が注目されるくらいだと思っていた。
許してくれ」
「そ、そんな、とんでもございません。
あっ、写真販売の再開を見逃してもらえるなら…」
「それはダメだよ」
「ですよね!
す、すみませんでした!」
写真販売はダメだった。
ついでにシリアスな雰囲気も私はダメだった。
だって本当に大したダメージじゃないもん。
頭を抱えていると、ナヴィーヤがなにやら荷物をゴソゴソやりだした。