ルース
※※
帰り道、いつものようにバス停まで歩いていると、ちょうど私が乗ろうとしていたバスが、私の横を通り過ぎた。慌てて時計を見ると、1分早い。
走ったけれど間に合わず、100m先のバス停に停まっていたバスは、さっさと走り出していた。せっかちな運転手だったみたいだ。
諦めて次のバスを待とうとしていると、あーっと言うため息とともに、ばたばたと走ってくる音がした。
よく見るとそれは心理学の時の彼だった。
彼は激しく肩で息をしながら、次のバス時間を見ていた。
20分後、バスがやってくると、彼は財布を見てにわかに慌てだした。
彼の次だった私はどうぞ、と促されて前に進もうとした。
すると
「あの、小銭貸してもらえませんか?」
と、半分涙がこぼれそうな顔で彼が言う。
どうぞ、と言った手前で少し気まずそうに、彼は私に助けを求めた。
聞くと120円区間で、あげちゃえ、というつもりで200円彼に渡した。
すると彼は私の立っている所まできて、あの、返しますから、と申し訳なさそうに言ってきた。
「うちの学生さんですか?」
彼は律儀に返したいのか、またはナンパなのか、私に細かく尋ねてきた。
彼の名は澤田圭介と言って、22歳で2年生。
学部は違ったけど、同じ学年だった。
帰り道、いつものようにバス停まで歩いていると、ちょうど私が乗ろうとしていたバスが、私の横を通り過ぎた。慌てて時計を見ると、1分早い。
走ったけれど間に合わず、100m先のバス停に停まっていたバスは、さっさと走り出していた。せっかちな運転手だったみたいだ。
諦めて次のバスを待とうとしていると、あーっと言うため息とともに、ばたばたと走ってくる音がした。
よく見るとそれは心理学の時の彼だった。
彼は激しく肩で息をしながら、次のバス時間を見ていた。
20分後、バスがやってくると、彼は財布を見てにわかに慌てだした。
彼の次だった私はどうぞ、と促されて前に進もうとした。
すると
「あの、小銭貸してもらえませんか?」
と、半分涙がこぼれそうな顔で彼が言う。
どうぞ、と言った手前で少し気まずそうに、彼は私に助けを求めた。
聞くと120円区間で、あげちゃえ、というつもりで200円彼に渡した。
すると彼は私の立っている所まできて、あの、返しますから、と申し訳なさそうに言ってきた。
「うちの学生さんですか?」
彼は律儀に返したいのか、またはナンパなのか、私に細かく尋ねてきた。
彼の名は澤田圭介と言って、22歳で2年生。
学部は違ったけど、同じ学年だった。