キモチの欠片

「どうしてって、そこのおじさんに迎えを頼まれたからね。というか、なんで柚音ちゃんが?あ、柚音ちゃんの名字は河野だったよね。なるほど。ゆず……そうか、思い出した」

一人ブツブツ言う原田さん。
えっと……じゃあこの夫婦は原田さんの両親ってことだよね。

「お、雅史。お迎えご苦労」

「お迎えご苦労じゃないよ。全く、二人して酒飲むなよ。わざわざタクシー使ってここまで来て、車で親父たちを送ってまた自分のマンションに帰るの面倒なんだけど」

呆れてため息をつく。
でも、文句を言いながらもちゃんと迎えに来てあげてる優しい原田さん。

「忙しいのにごめんね、雅史。それにしても柚音ちゃんのこと、覚えていたのね」

「いや、さっき思い出した。同じ会社で働いていたけど、全然気が付かなかった」

「そうなの?子供の頃によく遊んでいたのに」


原田さんのお母さんの言葉に首を傾げる。
あたしと原田さんが子供の頃に遊んでいた?

記憶を幼稚園ぐらいまで遡ってみる。
うーん、原田雅史……。

あっ、もしかして。


「まーくん?」

確認するように原田さんを見た。
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