キモチの欠片

長年の想いって……。
そういえば前も同じようなことを言ってた気がする。

「ホントだったの?」

冗談かと思ってたのに。
でも、葵の表情からそれが本気だということが伝わる。


「俺の片想い歴、なめんなよ」


握っていない方の手で頭を小突く。


「どうせゆずは鈍いから気付いてなかっただろ。つうか、高校ん時は避けられてたから無理もないけど」


自業自得だけどな、と苦笑いする。


「なぁ、やっぱ俺んち来いよ」


マンションまで戻って来た葵が足を止め、真剣な顔をしてあたしを見つめる。
ドクン、と胸が高鳴る。


「んー、それはまたの機会?」


どうしても素直になれず、こんなこと口走ってしまう自分が嫌になる。


「ふざけんなよ、俺はゆずと離れたくねぇよ」


不貞腐れた顔をし胸キュンなセリフを吐く葵にもうノックアウトだ。
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