キモチの欠片
葵のあとを無言で歩き横断歩道を渡り公園に着いた。
「そこに座れよ」
葵はベンチのど真ん中に座り、すぐその隣をトントンと叩く。
いくらなんでもこんな近くには座れない。
カップルでもないのに密着しすぎだし。
葵の言葉を無視しベンチの端っこに座った。
チッと舌打ちが聞こえたような気がしたけど聞こえない振りをした。
小さく息を吐き、公園内を見渡した。
この公園には子供たちが遊べるような遊具はない。
木々に囲まれ真ん中には噴水があり、周りに数個のベンチがあるだけの大人の憩いの場所みたいな感じの公園。
どうやら今はこの公園に人影はない。
噂では夜はカップルが増えるみたいだけど。