恋の魔法に



「じゃあまた明日。学校でね」



手を振って別れを告げると先輩は歩き出した。


はぁー……かっこ悪いところしか見られてない。


なんかすげー女々しいやつみたいじゃん、俺。


先輩に助けられたな……


練習もっと頑張ろう。
次は絶対勝つ。



ふぅと吐き出せば息が白くなっていた。
1人になった途端さっきよりまた寒く感じた。



マフラーで顔半分を隠す。
桃の香りがまた鼻を掠める。



先輩って思ってたよりも小さくて細かった。


思い出して顔が熱くなってくる。
は……俺、女子みたいじゃん。



「……先輩」



誰にでもこんなに優しくしてるんですか?




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