恋の魔法に
そのうち志帆たちも出てくるだろう。
結城くんといるところを見られたらまたなんか言われるかも。
は、早く行かなきゃ!
「う、うん。帰ろっか」
チラッと校舎の方を見てから早歩きで駅を目指して歩き始めた。
しっかり腕を振って大股で歩く。
見つかりませんように。
バドメンバーに見つかりませんようにっ!
だって見られたらまたいろいろ質問責めされるもん!
「葉山先輩歩くの速いですね」
「そう? 普通だよ」
結城くんはラケットを持ち帰ってるらしくケースの中にあるラケット同士がぶつかる小さな細い音が聞こえた。
私たち女子はシューズもラケットも部室に置いていってるんだ。