恋の魔法に


隣には大学生らしきお姉さん、向かいの座席には誰も座ってない。

たしかにあの音が聞こえたんだけどな……?


「あ……」


私が座ってるところからは離れているドアの前に立っている学ラン姿の男の子を発見した。


黒のエナメルバッグと黒のラケットケース。

結城くんだ。


結城くんは携帯をいじっていて私には気づいてない様子。

今日は一緒の車両だったんだ。
初めて朝に会ったなぁ。

もう一度単語帳に目線を落とすとだんだんと頭が傾いて目を閉じてしまった。

15分だけでも寝てよっかな。
乗り過ごさないよう気をつけなきゃ……


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