恋の魔法に
「先輩! 葉山先輩! 起きてください。もう着きましたよ」
肩を揺すられてる感じに目をうっすら開けると結城くんの顔がすごく近くにあった。
え、なっ……結城くん!?
状況がつかめず何度もまばたきをしてるとグイッと腕を引かれ立ち上がらされた。
私たちが降りるとすぐにドアは閉まって電車は走り出した。
見慣れた景色。
ホームから見える駅前のロータリーに出ているたい焼き屋さん。
小さなコンビニ。スーパー。
「私……寝過ごすところだったの?」
ぽつんとつぶやくと結城くんが隣で笑いだした。
この子よく笑うなぁ。
「爆睡でしたね。単語帳、床に落としてましたよ」
渡された単語帳を受け取ると結城くんはニコッと笑った。
「おはようございます先輩」
そんな爽やかにあいさつされたら絶対誰でもドキドキすること間違いない。