恋の魔法に

足を止めてその人の方に体ごと向ける。



「大丈夫……ですか?」



私がそう声をかけるとその人は顔をあげて折り曲げていた背中を伸ばした。


あまり目線の高さが変わらなくて、身長差はそんなにないと思う。

男子にしては小さい方なのかな?


街灯の明かりがぼんやりとその子の顔を照らした。


ん……? 誰ですかこの可愛い系の男の子は。


二年生ではない、ハズ。
だって見たことないもん。



「俺のこと知ってますか?」

「え?」



なにを聞かれたのかよく分からなくて間抜けな声が出てしまった。


うわ、恥ずかしい……


手袋していた手を自分の口に持っていった。


「バドミントン部の一年の結城奏斗です」

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