隣の彼の恋愛事情
私は次の焼き鳥に手を伸し、ほおばるのと同時にアイツが話始めた。

「園田さんのことだけど」

「園田さん?」

「そう、園田結子さん」

(あぁ、あんまり聞きたくない)

手元の割り箸の袋をもじもじといじる。

「婚約者って結子さんは言ってたけど、正確には違う。」

アイツの言葉に思わず顔を上げると真剣な顔のアイツと目があった。

「確かにお見合いはした。オヤジ達同志が結婚させたがってるのも知ってる。だけど俺は婚約はしてない。」

真剣な目で私をまっすぐ見つめてくる。

「そ、うなんですか・・・」

なんて言って答えたらいいのかわからない。

ただ、胸の中で重くつかえていたものが、スっと溶けてなくなったのがわかった。

「あの日もきちんと断るつもりで、呼び出してたんだ」

まっすぐに私に向かう瞳。

こんな風に見つめられると、何もかもどうでもよくなってしまう弱い私。
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