隣の彼の恋愛事情
コーヒーショップを出て歩いても歩いても目的地にたどり着けなくて気がつけば、自分の部屋の中で震えるスマホを手にしていた。


「斗馬・・・」

スマホの画面を確認して、応答する。

「もしもし―――」

「お前、今どこだよ?」

唐突に言われて、今日の約束を思い出す。

「い、家?」

「なんで、家にいるんだよ。今日こっちに来る予定だっただろ」

「うん」


「どうした?なんかあった?」

彼の声が急にやさしくなって、止まっていた涙がもう一度溢れそうになる。

「う、ううん。ちょっと頭が痛くて。連絡しないでごめんね」

適当な言い訳をする。

「大丈夫か?事故とかにあってたらどうしようかと思った。お前ぼーっとしてるからな」

ぶっきらぼうだけど、優しい彼の言葉に胸から‘ジン’っとたものが駆け上がってきて目頭が熱くなった。

(今さら、この気持ちどうしようもないよ)

結子さんの言ったことが頭のなかをぐるぐる駆け巡る。
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