隣の彼の恋愛事情
(なにも言い返せなかった)

マグカップの中のカフェモカに映る、不甲斐無い私の顔は今にも泣きだしそうだった。

付き合い始めたばかりだが、斗馬への思いは加速するばかりでその先にはと漠然として将来のことを妄想していたりした。

彼との恋愛の先にはもちろん結婚もあるものだと考えていた。

ただ、彼は青山グループを将来背負っていく。

そのことは頭でわかっていたつもりだったのに、本当は考えないように目の前の甘い時間だけを楽しんで、見ないようにしてきたことを今さらながら自覚した。

目の前のマグカップの中身を一気に飲み干して、そこに映ったふがいない自分を丸ごと飲み込んでしまいたかった。

でも、実際の私の目からはポロポロと涙がこぼれていた。
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