隣の彼の恋愛事情
どこか冷めたような言い方に私は

「そういうことではなくて、結婚したいほど愛しているかどうか聞いてるんです」

膝の上で握りしめた拳が力を入れすぎて白くなった。

「そもそも愛だけで結婚するなんていうのは、所詮あなたの理論よ」

「でも、一番大切なことですよね」

私がそう言うと、ははっと乾いた笑いを返された

「一番が何かは、人によって違うわ。それに彼は断れないわよ」

「どうして―――」

「私妊娠してるの」

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