隣の彼の恋愛事情
「いつまでもそうやって信じたいことを信じていればいいわ。周りの状況は刻一刻と変化していく中自分一人取り残されて初めて気がつくのでは、可愛そうだから私が忠告しただけ。あなたの気持ちがどうであろうと、状況は何も変わらないわ」

「・・・・」

悔しくて、唇をかむだけの私を一瞥して結子さんは席を立った。

「これ以上は、話しても仕方ないわね」

そう言い残して彼女は去って行った。

ギリギリまで我慢していた涙がボロボロとこぼれて、テーブルの上にたまっていく。

(今までよく我慢できたな)

そう思いながら、冷たくなった手で顔を覆い、人の目も気にせずに泣いた。

< 242 / 335 >

この作品をシェア

pagetop