隣の彼の恋愛事情
「紅に彼氏ができたとき、毎回笑っておめでとうって言ってたけど、そのたびに失恋した気分だったよ。今回だって―――」

「今回って――」

「三浦のことだよ。今回ばかりは俺もあきらめて紅のよき理解者になろうとした。だけど、いつも泣いてるじゃないか。紅がいつも笑っていてくれるなら、安心して‘チィ兄’のままでいられたけど、このままじゃ俺あきらめられないし、納得できない」

「そんな、今まで一度も」

「一度だって気付かれたら関係が変わっちゃうだろ?でも俺は今お前との関係を変えたいと思っている。もう見ているだけなのはやめだ」


そう言って、立ち上がって私の手を引いてその形のいい唇を私の額につけた。

驚いた私はただされるがまま、額に触れるチィ兄感触だけが体に残った。

すると、チィ兄の背後から土を蹴る足音がしてすぐに私とチィ兄は引き離された。

「何やってるんだよ!」

そこには、怒りをまっとった斗馬が今にもチィ兄になぐりかかりそうになっていた。

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