隣の彼の恋愛事情
「それで、あなたは幸せなんですか?」

そう聞いた斗馬に


「私は、この結婚が成立すれば幸せになれると信じてます。おなかの子供も」

結子さんは誰とも目を合わせずに手のつけられていないコーヒーカップを見つめながらそう言った。

「おなかの子の本当の父親も?」

そう言った瞬間、結子さんの顔がゆがんだ

「それは関係ありません」

今まで強気な態度が一変して弱々しい声になる。

「この人の前でも同じように言えますか」

斗馬がそう言って

「入ってきてください」

と続けた。

すると奥の寝室のドアがガチャリと音をたてて中から、人好きのする幼さの残る男性が思いつめた顔で出て来た。

「誠・・・」

その男性が現れた瞬間結子さんは、驚いた様子で立ち上がった。

「今の話し――」

「全部聞いた。子供のことも」

そう言って、誠さんと呼ばれた男性は結子さんに近づきそして彼女の白くて小さな両手をにぎった。
< 269 / 335 >

この作品をシェア

pagetop