隣の彼の恋愛事情
「では、そのおなかの子は?」

そう言われて、一瞬顔をしかめたように見えた結子さんは

「この子は私の子です」

そう言って、おなかをさすり見つめた。

「でも、私の子ではない」

斗馬がはっきりそう言い切った。その言葉を聞いた途端、私はほっとする自分がそこにいた。

(信じていたつもりだけど、斗馬はっきり否定してくれた)

「そうね、あなたの子ではないわ。でも両親たちはどう思うかしら?私があくまでも、斗馬さんの子だと主張すれば状況はどっちに味方するかしらね」

強気にそう言い切った結子さんは、一歩も引かないつもりだった。

「あなたは、私の子であるはずがないにも関わらず紅緒にその事実を告げずに妊娠と結婚の話をした。卑怯じゃないですか?」

今までだまって聞いていたチィ兄が私の代わりとばかりに話する。

「部外者は黙っていただけますか?」

綺麗な瞳で鋭い視線をつきつける結子さんはだれにもこの結婚を否定させるつもりはないようだ。
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