隣の彼の恋愛事情
***
「―――お、紅緒!」

斗馬が私を覗き込みながら肩をゆすっていた。

うっすらと目をひらくと、整った斗馬の顔が近くにあってドキリとした。

「こんなところで、寝てるなよ」

いつの間にかソファで寝ていた私にネクタイを緩めながら言う。

ネクタイを緩める瞬間の彼が好き。

その瞬間から私だけに見せる顔が増えるから。

そんなことを考えてニマニマしていると

「なに、よだれ垂らしたままで、にやついてるんだよ」

言われてあわてて口をぬぐった。

それを見た斗馬は

「う そ。 寝るんならちゃんとベッドでねろよ」

そう優しく私に笑いかけた。
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