隣の彼の恋愛事情
ぼーっと顔をみつめてしまっていたことに、気付いて我に帰るとニッコリと私を見つめる近藤さんと間近で目があった。

「一度ちゃんと話してみたかったんだよー。」

あたりさわりのない話を近藤さんと話していると、向かいの席にふと男性が立つのが視界に入った。

「近藤、こんなチンチクリンと、何話てんだよ」

顔を上げると、不機嫌そうな顔のアイツがそこにいた。

「ち、チンチクリンって!」

「おーごめんごめん。酒が入ると素直になっちゃうんだよね~」

馬鹿にしたような言い方にカチンときて睨む。

私とアイツの不穏な空気に気を使った近藤さんが「まぁまぁ」と場の雰囲気をかえてくれようとした。

「神崎さんは、ちんちくりんなんかじゃないよ。俺、結構タイプなんだけど。」

そういった近藤さんにアイツが馬鹿にしたように

「お前、一体どこに目がついてるんだよ。チンチクリンっていう言葉はコイツのためにあるようなもんだろ?」

普段人に関わろうとしないアイツのつっかかりに、近藤さんは少し驚いているようだ。

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