隣の彼の恋愛事情
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無言で助手席に乗っている私に、チィ兄は何も聞かずにただ車を走らせてくれていた。

(こういう優しさ、昔から変わらないな)

小さい頃から何かあるといつもこうやって何も言わず、何も聞かずに私のそばにいてくれた。

(今は、この優しさに甘えていよう。)

私は黙ったまま車の窓から外の景色を眺めていた。



ほどなくして、実家の前に車がゆっくり止まった。

「ありがとう。」

チィ兄の顔をみて、ニコリと微笑んだ。

「ん。何があったかは今は聞かないけど、元気ないとおばさん心配するよ。」

私の前髪あたりをゆっくりとなでてくれた。

「そうだね。自分でも整理ができてないから」

視線が自然にうつむき加減になる。

「もう、行くね。ありがとう。」

そう言って、ドアノブに手をかけて車の外に脚をつけた。

振り返ると、暖かい笑顔のチィ兄がいて

「夕方、ご飯一緒に行こう。」

そう言ってくれた。

「うん。」

私も子供に返ったときと同じ笑顔で返事をした。

あの笑顔を浮かべるチィ兄が大好きだった。
そう、大好きだった―――。今はすでに過去形の恋だった。
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