椿ノ華



苦笑を零す壱。


「でもね、僕を引き取ってすぐに壱が出来たんだ」

「……」

「本当の子供が出来たんだし、

僕は用済みで捨てられるんだろうなって思った。

でもね、成瀬川の夫婦は僕を長男として育ててくれたんだ」

「…ええ」

「圭は圭で、兄貴と相続争いとかするつもりは無い。

俺はやりたい事やるから、兄貴が継ぎたいなら継げば―…

なんて言うんだ。拍子抜けだった」


そう言う壱の表情は穏やかで。



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