椿ノ華



「血が繋がってなくても、壱は大切な弟。

両親にも感謝してる」

「…そうね」


思わず釣られて穏やかに微笑んだ。


「…まあ、僕の話はまた今度ゆっくりね。今は君だよ」

「……」

「辛かったね」


ふわりと、包む様に優しく抱きしめられた。


「…葵、絶対に許さない」


そう呟いた壱の声は、とても冷たいものだった。



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