椿ノ華
静かに部屋を出て、屋敷を出ようとした。
「…あ」
「あ…」
階段を降りた大広間に居たのは、圭だった。
「おはよ、椿さん?」
「おはようございます…。早いんですね」
「んー、帰ってきただけ」
「え…?でも、夜中には居ましたよね?」
「うん、あんたらが部屋に行った後に出たんだよ」
「そうなんですか…」
「兄貴は?」
「あ、まだ寝てます」
「そう。で?あんたは何処に逃げようとしてたの?」
ぎくり、と、一気に緊張した。